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 口が動く速度と頭が言葉を考える速度と何も考えずに言葉が出る速度と何も考えずに出る言葉の質と、何一つとしてバランスが取れない。
 Cは最近よく〇〇と言うなあ、Gは俺が言ったことを繰り返すなあ、Kは最近〇〇と言わなくなったなあ、ってその内容よりもその人の語り口に関心が強い、というのは、小説を読むときに物語よりも文体に惹かれるのや、映画を観ていても物語より演技や台詞にこそ惹かれるのと近いことなんだろうか。
 多才な人というのはいなくて、色んなことを高い水準で発表し続けている人でもその源泉は一緒じゃないか、だから器用貧乏に見える人や「絵もいいんだ、え、曲もいいの」と思える人に惹かれるのは、その根本にある水の溜まりの色や質感や温度に惹かれているんじゃないか、だからは間違いで、とにかく、惹かれるものの全て、辿っていくとひとところに行き着くんじゃないか、と思い始めた。

4/18
 久々に夜行バスに乗って東京へ。乗り込む前の「これも違うあれも違う、まだ来てないのか、でもぎりぎり過ぎないかな?今日であってるのかな、18日の24時って19日じゃないの?、あ、でも普通に考えてここに来るまでに停まる場所もあるし、18日の24時ってことは18日の23時とかいうとこから繋がってるわけだし」って時間で疲れる。
 彼女にもらった酔い止めを飲んで、乗ってすぐ微睡む。

4/19
 いくつかSAに寄って、バスから降りる度に「ヒッチハイクと遊びに来る以外でSAに来んの超久々、変な感じー」と思いながら、やっぱりSAいいーと思いつつ7:25にバスタ新宿に到着。
 不味いコーヒー飲みたくないしパン好きじゃないし朝早くの東京は毎回することないなって、ので、東京都現代美術館まで歩くことにした。それで歩き始めて、しばらく歩いて飽きてタリーズでオレンジジュースと嫌々サンドイッチを摂取。また歩き始めてすぐ飽きて、サンマルクへ。
 竹橋駅近くのサンマルクの喫煙席は、何度来てもむわっとしていて息苦しい。でも後ろの方から見える窓とその向こうの景色が好きで、近くにいると結構な頻度で来ている気がする。こっちに来て一本目の煙草を馴染んだ店で吸うと、途端に街に馴染む。

 それから歩く気が失せて、竹橋駅から清澄白河駅までメトロに乗って、地上に上がってすぐ「朝からこっち来てこの辺り歩きゃよかったなあ」と思いながら、中目黒がさっぱりしたみたいな街を美術館に向けて歩き始める。

 瑛九と桂ゆきのコラージュがめちゃくちゃかっこいい。絵画の様式の中でコラージュって映画に近い感じがする。朝倉摂のドローイングと森千裕の『レモン・ニュース(フレッシュ)』『MIGI VS HIDARI(フルーツと共に)』がかなり好みで、いいなーいいなーと思いつつ去年の夏に横須賀美術館へ観に行った中園孔二さんの作品がいくつかあって、やっぱり、今回は少し揺れて、自由につくられたように見える絵画を見ると、何かをつくりたくなる。
 加藤泉さんのソフビ作品が何体かあり、質感の生々しさと妙な可愛らしさにニコニコしてしまう。まじでいるじゃん、この世に、と思いつつ、確か駄目だった気がするけど、と思いつつ「写真撮影って、このブースは駄目でしたっけ?」と学芸員に尋ね、駄目で、しばらくじっと見てから移動。マーク・マンダースの作品も弱いところを突かれて、いつも通り近付けなくて、遠くから写真を撮って、日頃胃が気持ち悪くなるくらい嫌悪してる、芸能人や業界人を盗撮する奴らのことを思い出して、軽く気持ち悪くなる。
 ショップで加藤泉さんのソフビ作品中心の作品集とお土産にストラップを買う。

 清澄白河駅から青山一丁目駅まで乗って、上がって歩いて曲がってワタリウム美術館でジョン・ルーリーの作品を観る。
 中園さんの作品と同じく、自由につくられたように見える作品は、見る側に何らかの意欲を湧かせてくれる。タイトルは本人が翻訳してるのかな、その響きと絵の中の人や動物の存在感の響きが近いように感じる。ちょっと不穏な気配。ポストカードを買おうと思って探し回るが無く、来週からです、とのことでSHOZO COFFEE STOREへ。
 やっと行けたーって店で気持ちいい接客と美味しいコーヒーを味わえて、二つの美術館と相俟って、非常に幸福な気分に浸る。この美味しいコーヒーと一緒に煙草吸いたーいと思いながら、道を挟んだ向こうで煙草を吸っている人たちを見つつ、GYREの新しくなったギャラリーへ。
 デヴィッド・リンチの展示会で、どれも好みで、まだ一本も観てない映画を思いつつ「多分、絵ほどは迫ってこないだろうなー」と思う。

 それでNO.8でアイスカフェラテを飲んで休憩。お洒落な人はお洒落な人を一瞬上から下まで、下から上まで見るけれど、大半の人は誰も見てなくて誰にも関心が向いてなくて、非常に心地好い。じろじろ見てくるのは地元の人じゃないだろうなって人ばかりで、心休まる。その土地その土地に合った雰囲気や服装というのは当然あって、その土地その土地に合った他人への関心の向け方、態度、視線、というのは当然あって、それで奥に移動してサンドイッチとシェイクしたアイスカフェラテを摂取。

 cocotiの二階で充電がてらアイスティを飲んで、上に上がって三時間後の『ハイ・ライフ』の券を買う。SPBSまで歩いて坂元裕二の『往復書簡初恋と不倫』を買って、何となくノートとペンも買った。ヒューマントラストシネマの待合席みたいなとこでぼーっとして映画を観る。
 訳わからねーと思いながら、訳分からんところはなくて、ロバート・パティンソンいいなー、久々にコズモポリス観たいなー、と思って、映画館で音立てる奴は普段どんな音をたてて生きてるだよと思いながら、まじで静かにしようよーーーと思って、観終わって、マンボーへ。
 12時間パックで入って、すぐに外へ、お久しぶりって感じで凪のラーメン食べて、あんこギッフェリと体に良さそうな液体を調達し、マンボーに戻ってシャワー浴びて就寝。

4/20
 8:30に出て、そのままFuglenへ。今回は旅の終わりにもってきて、正解で、テラスで煙草を吸い続けアイスカフェラテを飲み、帰りを思って、帰ったあとを思って肩を落として、歩いて代々木上原駅へ行って、海老名駅へ。三月の時はここを友達と歩いてたなーって寂しくなりながら海老名SAまで歩く。

 裏面が白のチラシを探して見当たらず、でも段ボールをもらうのは嫌だから、帰れないなーと思いつつ喫煙所に行って「とりあえず加藤泉さんの本でも見るかー」とごそごそすると外装が段ボールで「あらやだ」気分で、まずは静岡方面でスタート。
 すぐに乗せていただけて、足柄PAへ。一人でのヒッチハイクのつまらなさに疲れつつそのまま始めて、またすぐに乗せていただけて、静かな方で、嬉しくて、車内ではぽつぽつと話して静岡SAへ到着。
 美味しくない昼食を食べて、煙草を吸い続けて、やる気が失せていたから地図と電車賃を調べて、まだやろうと決めて、始めて、住んでいる市の二つ隣の市へ用があると仰る茨城から車を走らせてきた方々に乗せていただけることに。
 本当に驚く、し、こういうのがあるから面白いよねーと思いつつ、あれよあれよと晩御飯の鍋に参加することになった。
 隣の隣の市で全く知らない人の家で全く知らない人たちと鍋を食べるのは奇妙で、帰ってきた感じと物凄く遠いところにいる感じがして、笑ける。その家の方と乗せてくださった方も初対面らしく、一体これはなんなのーと思いつつ、つがれるたびに食べ続け、はちきれそうなお腹で帰宅。

 今年は二月に九州へ、三月に東京へ、四月に養老と瀬戸内の島々と東京へ、それで明後日から九州へ行く。四月は毎週末ヒッチハイクをしてることになる。ヒッチハイク自体は数年前の一回目の二台目で完全に飽きているけれど、それで出会える人はまだまだ変な人がいて、やめどきが分からない。楽しいしつまんないね!