『結構です 騒いだ夜に垣間見た 俺の知らない 先のつつしみ』
『馬鹿な顔して笑ってる あいだ そのまま その顔で シャッター切るまであと少し』
『淡い楽しみ最後の今日 種火に集う哀れな我ら まだ知る前の今が潮時』
『朝方の乾いた土に舌を這う甘い砂つぶこれから通勤』
『目の奥に 残る昼月 そばの犬 いつかに聴いた覚えてないよ、だけど唄える』
『大火の音 影より出でるお前の玉と 俺の言葉は食むそばより』
『未だ七割結合す 我らを分かつ金属片 穂先に滴るクジャクの涎』
『羊歯の民 撓む枝まだ夕餉の時 浅い眠りは なにかの準備か』
『橋の下 もぐるそのおり屈む君 いまだ微笑む頬に触れたい』
『あかさたな あいしていたよかかずらう さざめくたきにないておくれよ』
『凍る指先 落ちる爪 ただこのときより わたしは自由』
『俺は俺は俺は俺は 君の君の君の君の ははは くっだらね』
『鼻頭に落つ雪片の いまだ輪郭はっきりと はたと溶け入る君の手の甲』
『親父どうしてこの俺を 自転車庫に笑った顔と置き去りに?』
『てやんでえ!寿司は江戸前 甘味はハリボー 黄金の熊が手招きす』
『赤い顔 パソコン教室まえから二番 俺とお前は隣に座り』
『こんばんは ちょっと一ついいですか、僕甘いカレー苦手なんです』
『重い蓋 走り回ったなこの下を 砂塵で潤んだ鼻をかみかみ』
『指先に光る電灯 計八つ 薄暗きに我ら安らう ここは穴底』
『唇を裏から噛む癖 まだあるの 変わってないね 俺の主体はこの甘噛み』
『朝四時道路の真ん中で 俺らは走る 四輪駆動 足よ踏み抜け まだ躱せ』
また短歌を書くつもりで書いてみると今度は二十二個出てきた。二十二首というのか、まず全然五七五七七じゃないじゃん。七から始まってるのもあるし。ただ気持ちのいい並びを意識すると五からでは、言い切った感じがあり何となく気持ち悪くなってしまう。上手いこと言おうとすれば、出来上がって読み返して削除という流れから一つも漏れない。調べてみると、都々逸とか今様の方が書きながら感じているリズムに合うのではないかと思い始めた。だからなんだという感じで、それでも、新しい文章の書き方みたいなものを試すのは楽しい。それでいい。
空腹にカフェインとニコチンを取ると気持ち悪くなることを何度繰り返せば、もうしなくなるのか、何度も同じ目にあって苦しんでいる、にしても淹れたてのコーヒーは安物でインスタントでも美味い。
色んなところでコーヒーを飲んでいると、冷たい飲み物はとりあえずで出してはならないもんだよな、と折に触れて思うようになった。どんなところの喫茶店もアイスコーヒーとアイスカフェオレがメニューにあるけれど、七割はー好みでの話じゃない!と断言したいー極めて不味く、確実に具合が悪くなる。そういう店は結局のところホットを頼んだとしても、時間をおいて不調になるだけで大差はなく、読書が捗る雰囲気であると、残念で仕方なく悲しくなり、やはり体調を崩す。
ということで、店をやる段になればー当たり前のことなんだけどーきちんと美味いものを出したい、と年々強く思うようになっている。それと同時にもっとそういう店にお金を使ったり常連候補を連れて訪れたりしないとなと使命感を抱く。